午前4時38分。GN125のコールで目が覚めた|暴走ピン芸人と犬と警察24時
お世話になっております。
退屈な人生に生きがいを。プロ道楽師のまるこフランキーです。
うちのイッヌが吠えて、僕を踏んづけて、大暴れした。
おふっ(ハイフライフローをくらった時、呼吸できない様子)
僕「どうしたの?」
犬「わんわんわんわんわんわんわん」
するとどうでしょう。
ゴォロゴォロ…。ゴォン、ゴォン。
バイクのエンジンが掛かる音。

近いぞ、あいつだな。
まったく何時だと思ってるんだ。
僕は、近所に暴走族が住んでいるのを確認済みだ。
というか、正確には族ではない。
独りだから。
暴走ピンだ。
『暴走ひとり』と名付けてもいいが、それは劇団ひとりに失礼なので、暴走ピンにしましょう。
ちなみに僕は世界一のバイクヲタクなので、エンジン音でバイクの車種名がわかる。
それを豪語していた南海部品時代。
峠の麓から登ってくるバイクの音当てゲームを峠の茶屋で開催していた。
ふぉん、ふぉぉぉーーーーん!
600ccあたりのミドルスポーツの音。

「CBR600RRか、YZF-R6か、ZX-6Rは違うかなぁ。」
峠のバイク乗り達が予想している中、僕は
「いやいや、キャリー(軽トラ)だろ。しかもマフラー改造している、多分ヨシムラだ。」
ふぉん、ふぉぉぉーーーーん!
そして、キャリーが登ってきた時、僕は伝説となった。
しかも、マフラーはヨシムラだった。
僕はそういう異能力者なので、近所の暴走ピンが、GN125でコールの練習をしていることくらい、早朝4時に布団の中でイッヌに踏まれながらでも当てられる。
駄菓子菓子、今日はしつこいぞ。
もう、1分はコールを切っている。
さすが暴走ピン芸人。
サンシャイン池崎より五月蝿い。
よりによって、うちの目の前で、止まったままコールの練習をしている。
しかもヘタクソだ。
センスのかけらもない。
それはそうだ、コールは走りながら練習するものだ。
例えるなら、いつまでもカラオケに合わせてギターを弾いているようなもので、人と演奏しなければ意味がない。
なぜなら、人と演奏をするために、練習をしているのだから。みつを
あぁ、レブってるじゃないか。アクセル戻すのが遅いよぉ、もぅ。
だから、走りながらやらないと意味ないんだって。ニュートラルでアクセル吹かしても意味ないよ、クラッチ操作が大事なんだから。
僕は、布団の中で吠え暴れるイッヌに踏まれながら、なんとか寝ようと試みている。
ガチャ、ドアが開く。
「うるせぇのはどこのどいつだ!!
ワンワンワンワン!静かにしろぃ!!」
イッヌが、妻に叱られた。
え…。
なんか理不尽。
イッヌは瞬間伏せをして「ハイ!すいません!!」という態度を示した。
窓の外では、いまだコールの練習をする轟音がこだましている。
イッヌと僕は、妻に叱られないよう、息を潜めて待機することにした。
ちなみに妻は、マジモンで、横須賀生まれ、川崎育ち。工藤静香の3つ下。
妻がセンターでヤンキー座りをする後ろに、真っ白のスーツを着た一世風靡セピアのような漢達が立っている写真が残っている。
僕の暴走歴は、特攻の拓で学んだだけ。いわゆる、通信教育族だ。
だから、そんじょそこらの暴走族よりも、妻の方が恐い。
川崎では背後を取られないように警戒しながら歩く妻。
サラリーマンは度々、妻が恐いエピソードを挨拶のようにするが、負けたことがない。
とにかく今は、GN125が五月蠅い。
僕は特攻の拓で学んだキレ顔をしながら、110番した。
「あのぅ、僕の家の目の前でバイクがうるさいんです。GN125です。住所、○○フタ番です。はい、もうずっとうるさくて、眠れないんです。」
僕は、イッヌが再び吠えるんじゃないかと、心拍数が上がって眠れなくなった。
警察24時はまだか。
1時間後、僕の家の前をパトカーが通った。
それを見たイッヌが狂ったように吠えだした。
まるこフランキーでした。ではまた。


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