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万年筆インクは物語の色。名前で無限に広がる世界

色彩雫 四季織 インク ペンの話

万年筆インクは物語の色。名前で無限に広がる世界

お世話になっております。プロ道楽師のまるこフランキーです。

今日は、ネーミングで無限に広がるビジネスって最強じゃね?っていうお話です。

どういうことかというと、万年筆のインクがそれ。

たとえば「ブルーブラック」と言われれば、それはただの濃い青でしょ?

でも、「深海」と名づけられた瞬間、その色は静けさや孤独、あるいは深い思索を感じさせる別の存在に変わるじゃないですか。

「山栗」「月夜」「冬柿」──どれも、色名であると同時に、記憶や情景を呼び起こす言葉だったりしてめっちゃ素敵。

メーカーが「色」ではなく「名前」にこだわるのは、色そのものよりも心を動かす物語を届けたいからだと思うのです。

万年筆インクは「色」ではなく「記憶」

インクって、本来書くための道具のはずなのですが。インク沼という言葉があるように、万年筆の世界ではそれが、感情を表現するまでに昇華している、というのが素敵な世界だと思いませんか?

似たようなブルーブラックでも、「深海」と「月夜」では書くときの気分がまるで違います。

僕は、深海なら思索や孤独、月夜には儚さや一瞬の華やぎを感じるのですが、みなさんはどのように感じるでしょうか。

インクは、記憶や感情を紙に染み込ませて書く「記録」であって。「記憶を売る商品」でもある。記録より、記憶に残るってやつ、あれいい文章ですよね。

色を見ただけでは伝わらないニュアンスが、名前を添えるだけで一瞬にして心に届く気がするじゃないですか、母語話者なら。しかも、人それぞれストーリーがありますから、自身の経験にヒットする名前が必ずある世界線。

バイク業界と比べて、平和で優しい世界。だから僕は万年筆達が可愛くて仕方ないのです。

ただし、これはただの言葉の魔法であって、永遠に出来るビジネスモデルなんですよ。商魂で話をしてしまうと、興ざめですが、でも本当にそうで、参考になるマーケティングだと思います。

各社のネーミング哲学に見るブランディング

これら言葉の魔法を最も上手く使いこなしているのが、国産インクメーカーだと思います。日本は四季がありますから、本当に色彩豊かで素敵な国だと思います。

セーラー万年筆

「四季織」シリーズは、日本の四季そのものを瓶に詰めたよう。めっちゃ好き

「匂菫」「藤村」「常盤松」──音の響きからして美しいじゃないですか。今となっては文豪のみが知るような日本や、八百万の神々を表現したかのような、僕が大好きなメーカーです。

色を再現するのではなく、情緒までも再現しているこのシリーズは、「日本語の色見本」といっても過言ではないでしょう。

プラチナ万年筆

「クラシックインク」シリーズは、少し違うアプローチですね。

プロの道具を製造する、が経営方針のプラチナらしいインクとなっております。

古典ブルーブラックを現代に蘇らせ、酸化による色の変化までも作品の一部として楽しませる「カシスブラック」「フォレストブラック」など、伝統とモダンを掛け合わせた響きがあります。

道具としての耐候性・耐水性などを担保しながら、レガシーな手法で色を表現するプラチナ。僕は愛してます。

時間とともに色が変化していく様子も、時の経過を感じられてしみじみするんですよ。

パイロット

「色彩雫」シリーズは、日本の昔話のような世界線。

「月夜」「深海」「山栗」「冬柿」──日本の自然や文化をテーマにしたネーミングが秀逸で、一本一本に物語が宿っていますよね。

このシリーズは、世界の筆記具ファンに「日本語の情緒」を伝える文化的プロジェクトでもあると思っていて。銀座の伊東屋では、海外の方が「ビューリフォー」と言っているとか、いないとか。

国産3社の哲学は異なれど、共通しているのは、色そのものよりも「物語を売っている」ということですね。

名前をつけることで無限のインクが生まれる

RGBで表現できる色の数は有限ですが、言葉の組み合わせは無限ですよね。

「海の青」ひとつとっても、「美ら海」「湘南」「凪」「波間」──名づけ方次第でまったく違う世界が生まれそうじゃないですか。

だからインクメーカーは、新しい色を作るというよりも、新しい言葉を見つけることをしているのかもしれない。

その言葉が見つかるたびに、新しい物語が生まれて、新しい色が誕生する。

もうね、「色 ✕ 名前」という構造は、無限生成エンジンであって、この文化が流行らない訳がないし。僕は、日本が誇る「四季による色彩」を、世界に発信したい。と密かに考えていたりします。

国産3社の人事担当の方、お誘い待っています!

(HONDAに「私は世界一のバイクヲタクです。採用しないと御社にとって重大な損失ですよ?」と、なかば脅迫状のような履歴書を送った僕は、書類選考で落ちました。)

技術的な革新がなくても、言葉ひとつで世界が更新されていく。

これほど永続性のある商品群は、そう多くないと思うのですがいかがでしょうか。

僕のいま、お気に入りのインク

最近、僕が特に惹かれているのは、セーラーの「仲秋」です。

「仲秋」は、紫とも黒ともつかない深みのある色で、乾くとやや鈍みを帯びて落ち着く感じが超ステキ。黒みが強いブルーブラックとも言えない、奥に潜む藍色の余韻が上品で、大人の世界を感じる、そんな色。はぁはぁ

これからの季節は、「冬柿」もいいかもしれない。

名前を見ただけで懐かしさを覚える人もいるのではないでしょうか。

明るすぎず、渋すぎない朱色。寒空の下で食べる熟柿のような甘み、あるいは、コタツでぬくぬくしながらフォークで食べる家族。冬の匂い

インク瓶を開ける前から、もう物語は始まっているんですね。あぁ素敵

まとめ:自分の感情をインクで表現すること

万年筆のインクを選ぶという行為は、今日の気分を選ぶことに似ている。

誰も起きてこない、穏やかな朝には、「朝顔」

夜、ひとり静かに考えたい日は「深海」

少し寂しい日の夜は「月夜」

インクの色は、心の温度をそのまま紙の上に落とす。

そして僕は今日もまた、机の上の瓶たちを眺めながら思う。

万年筆が足んねーーーーな!と

まるこフランキーでした。ではまた。

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