マフラーの『抜けが良い』とは何か?バイク乗りが勘違いしがちなヌケの正体を解説
お世話になっております。
退屈な人生に生きがいを。
プロ道楽師のまるこフランキーです。
マフラーといっても、この時期にあったかーい首に巻くやつではありません。
バイクのマフラーのお話です。
えー、特におじさんが大好きな「抜け」について。
みなさん「抜け」をご存じないかもしれませんが、「このマフラー、抜けは良いですか?」とか、「抜けが良いマフラーが欲しい。」というような会話で使われます。
こういった質問が来るということは、「抜け」の逆、つまり、「詰まっている」感覚があるということです。
バイクに乗っていて、マフラーが詰まっている感覚とは、どういうものなのか考えていきましょう。
そのマフラー、本当に抜けますか?

まず、音が静かなこと。レースなどで爆音で走行するバイクからしたら、ご自身のバイクは静かでしょう。消音材が詰まっているから、消音材の入っていない「抜け」の良いマフラーに交換すれば、速くなるのではないか。
そういう誤解。
次に、カタログで見るパワーチェックのグラフ。あれで、カスタムマフラーの方が、ノーマルよりも上回っている。ノーマルは厳しい騒音の規制により、何かが詰まっている状態だから、カスタムマフラーの方が性能が高い。だから、カスタムマフラーの方が「抜け」が良いのではないか。
そういう誤解。
あとは、ネットの情報による知識。ノーマルは排気ガスの規制で、マフラー内部に触媒が入っているから、それを抜いてしまったマフラーであれば、文字通り「抜け」が良いということになる。
そういう誤解。
僕はオートバイ業界に20年弱、ウンザリするほど「抜け」の会話をしてきました。こういった誤解をいちいち説明するのも面倒くさいので、ブログに書いてしまおう。そういうお話です。
抜けが良い=音が大きいは誤解

まず、大前提として、バイクはバランスが大事。排気をいじるには、吸気もいじる必要がある。そこを話していくと、論点がズレてきますので、今回は排気の話。特に、吸気側はノーマルの状態を前提とさせていただきます。
それではいってみましょう。
先ほどお話しした「抜け」の良いマフラーの誤解。
これら「抜け」について誤解しているみなさんへの究極の答えは、マフラーを外してしまえばいい。
だってそうでしょう?
ご自身のマフラーに何かが詰まっているのだから、外してしまえばいいではないか。
でも、そういう乱暴なことなのでしょうか。
いやぁ、「マフラー外しちまったら、良い音がしなくなる。」
うん、それは「抜け」とは論点が違いまして、「音質」の話になりますので、割愛します。
はい、「抜け」とは、なんぞや。
流速と排気の関係

あなたは、いま、庭にホースで水を撒こうとしています。シャワーヘッドはありません。ホースだけです。
ちょっと、遠くまで水を撒きたくなりました。
さて、どうしますか?
ホースを指で握って、水の出口を細くしませんか?
そうすれば、水は勢いよく遠くまで飛びますよね。
何が言いたいかというと、水の出口を細くしたら、勢いが増して遠くまで飛んだ。
これは、ホース出口付近の圧力が増して、詰まっていた水が一気に放出されたことを意味します。
この話の出口も見えてきたと思うのですが、もう少しお付き合いください。
では、ホースの途中の水の勢いはどうでしょうか?
出口付近で渋滞しているのだから、ホース中間の水も渋滞していますね。
これでは、ホース全体の水の流れるスピードは遅くなってしまいます。
さて、出口付近の水のスピードはどうでしょう。
出口では一瞬渋滞していますが、出口付近では飛び出していった水に引っ張られて、スピードが上がります。
高速道路の渋滞の解消後と同じです。「やっと詰まりが解消された。よし行くぞっ」ってアクセル踏んでスピードが上がっていきますよね。そんなイメージです。
つまり、何が言いたいかというと。
ホースの出口を絞ったのに、ホースの中の水が速くなるポイントがある。
そして、そのホースの長さが、水が速くなるポイントだけだったら?
そう、ホースの中の水が、メッチャ速くなる。
出口を絞ったのに、メッチャ速くなった。
水が抜けるスピードが上がった。
分かりましたか?
いったん詰まって、圧力が掛かって、勢いよく飛び出たことで、出口でスピードが上がり、それに引っ張られて、中の空気の流れるスピードが速くなる。
これが、マフラーの「抜け」の正体です。
レーシングマフラーの技術者達は、この「抜け」について試行錯誤しているわけです。
だから、高価。当たり前ですよね。
そんな、ファッションで制作する、なんちゃってマフラーメーカーとは、レベルが違うわけです。※音質とは別の話として切り分けています。
だから、「このマフラー、抜けは良いですか?」とか、「抜けが良いマフラーが欲しい。」という質問への答えはですね。
性能テストを繰り返された製品を買ってくれ。
そういう答えになります。
ご理解いただけましたでしょうか。抜けの誤解。
もっと知りたい方は、「流速」について学ぶと良いと思います。
まるこフランキーでした。ではまた。



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